親父の仕事

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娘がタンザニアから無事帰って来ました。娘は今サラマンカというマドリッドから200キロメートル程離れた学園都市の病院で小児科医として働いています。4年間ほどインターンとしてその病院で働くと晴れて一人前の医者として認められるようです。その娘が、タンザニアの病院で一か月ほど実習してくると家(うち)の嫁さんに告げたそうです。家(うち)の嫁さんは、冗談じゃないと私に喚き散らしました。アフリカの病院に一人で行くなんてまさに冗談でないのでした。私の方は、いい経験かも、なんて軽く思っているのですが、簡単に賛成もできないので一様、困ったねーと嫁さんに合づちを打つ作戦に出ました。ただ娘の性格を知っているだけに、言ったって無駄と解釈すればOKなのでした。
 やってみなければ何事も解りません、やってみてああでもないこうでもないと反省すればいいわけです。ただ失敗したときの覚悟だけは、しておく必要があります。失敗したらめちゃくちゃにたたかれます。再起不能にまで叩かれるかもしれません。ここが運のある奴と無い奴の分かれ目になります。
 ただ一流の冒険家と二流との、はっきりした違いは、準備の周到さの違いにあります。また最悪の場面をいつも想定して生き残るルートをいくつも用意して事に望むという万端さがあります。そこに結果として運がある、またはあったという第三者の言葉が生まれるのです。
 目に見えない準備期間の楽しさがあるからこそ、そんなことができるのでしょうが。当人は、はたから見るよりは頓珍漢で、なにも実は考えていなかったりして、はたが心配していることが馬鹿らしくなることがよくあります。私は,冒険家植村直己さんが大好きで、なにかあると、不安な時は小さなことでもいい、今できる行動を起こすこと、という植村さんが残したという言葉を反復して事に臨んでいます。一度の人生、やりたいことをやって、自分に妥協の無い人生を。これをモットーに生きてきたので娘になにも言う資格がない自分なのでした。
と言うことで、それじゃ親父の目に見えないホローは何かと考え、日本の親友にメールで一報、親友も学生時代、アフリカに野菜作りに2年ほど行きマラリヤに何回も罹り、悪戦苦闘して現地を知っている猛者です。
 早速、知り合いのjaicaの人に情報をもらい、現地の情報を取得、タンザニアでもし何かあった時の最悪の事態を想定しての動きを練りました。こんな場合は、この機関を使って、ここでこう動く,etc。おじさんたちは、結構楽しく動き回ったのでした。何人かの猛者が久しぶりのメールの交換で感じ取ったことは、後ろで見守る。ただただ見守る。息子や後輩を導くすなわち指導とは、最後は見守るただその一言だと言うことでした。
何やかやで無事に娘の帰国の日を迎えることができました。マドリッドの飛行場に迎えに行くと、よろよろと重いパッキングをしょって出てきた娘に面白かったかと一言聞くと、パパも今度行くという答えに、また娘の世界が広がったと内心おじさんは心でよしよしの祝福を送ったののでした。案の定、家(うち)の嫁さんは、もう絶対行かせない。絶対。と娘の手を引っ張りながら言い聞かせていました。娘は、スマートフォンを動かしながらもうあっちの方角を向いてパパ今日、お寿司に行くと言うので思わずうなづいてしまっただめ親父なのでした。

4 Comments

  1. とても勇気があって賢い娘さんですね。敬服します。そして「後ろで見守った」ご両親も素晴らしい。そういう親御さんだからこそ、すてきなりりしい娘さんに育ったのですね。私も親になって、子どもの先回りをせずに見守ることの難しさを実感しました。子どもの生き抜く力を信じるのは親にとってなかなか覚悟がいります。息子が生きる力をちゃんとつけるようサポートせねば、と日々思っております。

    • 親父は気楽で、やればの一言で解決ですが、母親は、生みの苦しみを実感している守護人です。母親を苦しめてはいけません。だから母親には何も言わずに実行のみなのです。見守る難しいですよ。一言多くて失敗します。一言たりなくて後悔します。絶妙なタイミングで後ろからちょっとプッシュしてやる、後は自分で動くでしょ。

  2. お嬢様はお父さん似ですか
    女の子は、父親に似た方が幸せになるって、子供の頃聞かされました
    現在、そう思います

  3. 結構強気一本で前に進んでますので、親父に似ているかもしれません。

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