指圧のお蔭で

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この頃というより、5月、6月は毎年どさ周りの季節で先週はグランカナリア、今週はマラガ、6月の週末はベルギーを筆頭にほとんどの週末が出張でマドリッドをあけます。セミナー出張で、ホテル(レストラン)、会場、飛行場この三角形をぐるぐる回って、ハイごきげんようさようなら、の連続で何も面白くないのですが、ここ20年の定番ですので何となく消化しています。
 先生は指圧でいろんなところに行かれて羨ましいな、とよく言われます。ええ、いろんなところに行って、いろんな経験をいただき、指圧様様ですハイチーズ。が定番の答えです。実際は、地方巡業の売れないまたは、過去にちょっと売れた芸人のようなものなんです。講習が終わると一目散にホテルに帰り、先生という仮面を取ってバスにお湯を入れて、貴重な津村順天堂のバスクリンの固形を一つぶっこんで、極楽、極楽と、どっぷり湯につかりたい実はこれが紛れもない心情です。

ところが先生一時間後に夕食会があります。夕食会には、何々様が来ますので、何時までにご用意ください。何々がお迎えに参ります。こんな訳であわただしく、シャワーを浴びて、着替えて下のホテルのロビーで待機、そしてレストランに直行です。ヨーロッパ人は、飯食い外交が好きですので、時間たっぷりの夕食会です。私は、優雅にお話をしながらワインをちょびりちょびりのタイプではないので、本当に苦労します。ぱっぱあと食べて、すぐにソファーで横になりたいタイプですので、メーンを食べ終わった後、時間を持て余し、下を向いてコックリコックリの時が何回かあり、恥かきおじさんを何回もしました。今では、茂は疲れているが、知れ渡っていますので、夕食会も私が主役の時は、まことにシンプルになりました。
 私の患者さんは、音楽関係の人が多く、オーケストラの楽団員がいっぱいいます。そんな患者さんの悩み事は、コンサートが終わるのが、もちろん一般の人が夕食を食べる時間のずっと後が一般です。終わった後に楽団員のために正式な夕食とはいきませんが、コンサート後つまみを用意してくれるんだそうです。コンサートが終わるまで緊張して何も胃に入ってない人がほとんどで、緊張から解放されてつまみとお酒が出れば、食べますよね。
 緊張から解放されて食べて、サー帰るぞーと時計を見れば、12時過ぎ、急いで帰りベッドにいざGOです。この繰り返しが続けば、太りますよね。プロの音楽家です、練習も仕事です。何時間も同じ姿勢で、楽器との奮闘です。そして本番までの緊張、緊張から解放されて胃への補給。まったくもってつらい仕事です。メタボのおじさん、おばさんがそんな人たちの末路なのです。華やかな陰にいろいろなことがあるのです。モンセラさんという有名なオペラ歌手がスペインにいるのですが、その伴奏を長年していたピアノの大先生が、私の患者さんでしたが、太りだしてぶくぶく、しまいにはうつ病になり、最近お亡くなりになりましたが、体の管理、特にメンテナンスの重要さ、そして指圧の役割を、そんな経験で感じ取らせていただきました。まったくもって人生いろいろを指圧の世界に舞い込んだお蔭で経験させていただいております。サラリーマンでは誠持って経験できない経験と感じております。
 ただ今でもおふくろさんは、おめくらさんのお仕事をなんであなたがやらなくちゃならないの、と日本に帰るたびに私に訊ねます。私は今でもまともな返答ができません。

2 Comments

  1. 好きだから でいいじゃないでしょうか

    • 好きな仕事をできる人は、人生楽しいですね。嫌いで、やることは、お金を多くもらっても続きません。

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