引き際の妙パート2

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まったく思ってもいなかった、当クリニックの治療師が辞表を提出しました。竹を割った様な性格の彼女です。やめると決めたら行動の早いこと、さっさと書類にサインしておさらばでした。30年の治療所の歴史で、その半分以上の日々を私と共にいいときも悪いときも、じっと我慢で私を支えてくれた重鎮でした。

25年間私の治療所の働き頭として、もくもくと働いてくれたナンバー2。その彼女が、一週間前の夕方、辞めた辞めたといって早引きしました。そしてその日から治療所に来ることがありませんでした。後2年我慢すれば、本当の退職の年が来るのでした。
 うちの嫁さんはしきりに彼女が辞めるときが、この治療所の引き際よと散々言っていた最中でした。
 私のほうもこの商売にいつ幕を引こうかと考える時期に着ていることも事実です。又私の治療師の限界はどの辺かなーと還暦を過ぎた今しきりに模索している最中の出来事でもあったのでした。
 患者さんは治療師につくもので、治療師が辞めればその患者さんもいなくなるのが常識で、人と人の絆の世界にあるのがこの商売なのですが、ストレスもかなりかかる商売でもあるんです。
 彼女、金に困っているわけでもないし、仲間を引き連れて新しい治療所を作る性格でもないし、何だなんだと叫びたくなるような心境でした。
 学校統括の息子が彼女と話す機会があり真相を尋ねると、どうやら同僚からいじめにあっていたみたいなんです。うちのスタッフは長年働いているベテランばかりで、みんな一匹狼的な人達ばっかしで、タフな連中と思っていたんですが。
 彼女だけ孤立していたみたいなんです。そして何気なくの会話が彼女をいらいらさせていたみたいでした。その一言の言葉とは、若い患者さんはおばさんじゃどうもね。いつまでやってるのあのおばさん。的な言葉をスタッフの中堅から上等なテクニックでねちねちと彼女に浴びせかせてたみたいでした。
 確かに古い患者は、古いスタッフを指名しますが、メンテナンスだけの若い患者は、ヤハリ技術、会話が時代遅れのおばさんは敬遠気味であったのは確かで患者数も以前よりは落ちていたことは確かでした。でもそれだけでと考えるんですが、彼女のプライドそして老兵は死なずただ立ち去るのみを実践したんだと、今自分に納得させています。ある日突然ふと気がつく加齢臭、鏡を見てふと気づくむくみ顔、そしてつやのない疲れた顔、たるみきった体、ふと気づくんだろうな引退時期を。過去の栄光を語り、昔はね、を繰り返した時。又妙に俺は俺はを強調しだしたとき。そうさねー。
 きれいに引き際を飾れるかはまだ解りません。しかしそろそろ準備が必要なことは確かなようです。往生際の悪い自分をふと想像するのは、正夢ということでしょうか。

2 Comments

  1. 50を過ぎたので身につまされます・・・。仕事で年齢を理由に遠回しに引くように仕向けられたりしますから。何事も「終わりは始まり」と思っていますが、自分が納得するまで時間がかかります。

    • 50過ぎると色々あるんですね。ある日ふと気がつく老化現象、反射神経の衰え、ヤバイですね。

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