ろうそくの灯 パート1

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東大の緊急病院の医師が、人間は死なないという本を出していて、興味をもって読み進んでいます。医学界最高峰の東大病院の緊急医療の医師が、肉体は滅んでも、魂は生き続けるなんて言い出したら、なに言ってるんだこの野郎が一般的ですが、その先生のお話をYouTubeで拝見したことがありますが、いたって常識人で、言ってることに自分は納得しちゃって、いちいちうなずいちゃって、あれ俺の頭は、ちょっとやばいんじゃないかと思った次第なのでした。

私の商売は、指腹で患者さんとコミュニケーションをとる商売ですので、体の変化が、精神的な変化につながることは,充分納得しています。患者さんが何を考えているか、性格はどうかということは、並みの心理学者よりよっぽど、ずばりとわかるものです。人の心が読めるので、感情移入は、絶対避けることを基本としています。そうでもしなくちゃ体がもちません。
 背骨の問題が、私の得意分野なんですが、どういう訳か癌患者さんが私の受け持ちとして3割を占めます。癌患者さんは、指圧を受けた後のハッピー感を良しとしているのか、精神的重圧を指圧が少しでも和らげるのか、私に奇跡を求めるのか、色々あるんでしょうが、指圧を受けてひと時の安らぎがそこにあるのなら、私たち指圧師は、全力を注いで一指一魂を実践します。セッションが終わった後、ありがとうと言いながら私たちに微笑んでくれたら、それでお互いハッピーになれます。こんないい商売、まさに指圧冥利につきるわけです。喜んでもらえれば、単純にそれもよしということで、結構週一回のセッションに来ていただいています。
 私たちの業界で、受けた受けたという言葉を使います。患者さんによって疲労感の違いがまちまちなのです。もちろん、フィーリングが合わない患者さんの治療後の疲労感はハンパじゃありません。気疲れです。また癌患者さんの治療時に患者さんの今の状況を察しながら治療をすると倦怠感が2,3日続くことがあります。こんな時、受けた、受けたと嘆くわけです。素人の同情ほど、治療に役に立たないものはありません。気は弱い方に流れます。患者さんと治療師の気を比べれば、治療師が強い気を持っているのが当たり前です。弱い気の持ち主である患者さんの気が治療師に流れます。其の気を貯めこんだら治療師の体はボロボロになります。患者さんからもらった気を洗浄して患者さんにお返しするのです。要するに気の循環を意識的に私たちはしています。一流の治療師は、この気のサイクル運動のコントロールを知らぬ間にやっているのです。そうでなければ体がもちません。二流は体を壊して10年ぐらいで指圧界から消えてゆきます。生き残れるのは、超鈍感のお馬鹿さんか、一流だけです。35年毎日毎日、気の流れる人間様を触っていれば、それはそれで何かを感じるようになります。指先で、皮膚を通してコムニケーションができるようになります。体の奥の悲鳴を感じるようになります。一体感という意味がなんとなく分かるようになります。
 所詮、私たちは、動物の成れの果てです。原始的感覚がなまった現代人ですが、磨くと結構よみがえってきます。スピリチュアルな世界は、なぜか胡散臭いものと思って結構ですが、科学では、解決できないものが結構世の中にはあるものです。ふと無心で、患者さんを触るとなにかを感じるときがあります。誰だって、顔色を見て健康度を判断しますよね。ただ私たちは、もっと奥底の何かを感じる時があるのです。その奥底の何かは、言葉では言い表せませんが、私たちが、その何かを感じ取った時、患者さんの顔が、和らぎ始めます。眉間の皺も消えてゆきます。柔和な顔ができました。こんな時の蝋燭の灯は、永遠の光沢を放つのです。
 

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