スペインの医療制度は、比較的国民に対して寛容性があります。保険は国の医療保険、個人の医療保険の2種類があります。私はその2種類の保険を使い分けています。自営業や勤め人は、自動的に国民保険を払っていますので、国や自治体が運営する医療機関は順番を待つことさえ我慢すれば、すべての人が平等に医療の恩恵を受けることができます。またこの国は、国や自治体の運営する医療機関が大半を締めますので保険証さえあれば、大半の病気は国や自治体の最寄りの病院に通院及び入院が可能です。ただ日本もそうなんでしょうが、国立は待たなければなりません。順番が来るまでに死んじゃうよが現実の問題ですので、プライベート保険が幅を利かしているのも現実です。ただひと月の料金が年齢にもよりますが平均して100€(13000円)前後ですので急病に備えてプライベートの保険を所有する人が年々増えています。
何割負担ですかと聞かれれば、処方箋すなわち薬代は全額負担ですが、診察、検査は、まったくお金の心配がいりません。この辺の寛容さが今のスペインの経済破たんを生んだのも事実です。
今でも急患として外人が利用して金も払わずにドロンが可能な国ですので、この辺は誠に脇がお砂糖の国です。この寛容さはスペインの良き時代の忘れ物かもしれません。プライベートの病院が今まで親方運営の国立病院に替わって増えてきています。直接目に見えない現実として、実はこの病院のオーナーはアラブの金持ちだったりして、ただこの辺の動きは、老人大国スペインですので医療経営のおいしさは日本と同じかもしれません。
医者も看護婦もレベルはかなり高く、この不況でイギリスやドイツにより良いサラリーを求めて移動している現実もここにあります。苦しき狭き門をくぐってきた医者や看護婦のサラリーは確かに安いです。30万円前後のお金で我慢しているお医者さんを私は何人も知っています。この国の不思議な所なんですが、裕福とは言えないまでも医療に従事する人は比較的日常生活に困った人の家庭の出が少ない現実を反映してか、奉仕の精神の人が目立ちます。赤十字、カリタ、国境のない医師団の活動の中心がこの国にあることは意外と知られていません。この辺は、キリスト教の信仰が影響していることは確かなはずです。
しかしこの国にも 汚い世界はあります。この国の政治屋の汚職が目立つ中で医療機関はこの国は正常に働いている印象が深くこの辺がスペインのお面白いところでもあります。しかし良き時代の寛容さは終わりを告げています。衣食足りて何とかで、このバブル崩壊の真っただ中のスペインは、国が潰れないためにアンタッチャブルの聖域医療に目を付けて、ここまではよし、ここはカットと、スペインの十八番である極端から極端の改革に政治屋が動き出しました。また一つスペインの良さが消えつつ現実がここにあります。
2015年10月6日 at 12:40 PM
んんー… 残念ですね(涙)
2015年10月6日 at 10:07 PM
スペインはそれでも、奥行きの深さがありますよ。